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【ほくろ除去】悪性皮膚腫瘍の特徴と取扱い

ほくろ
2011.11.10.木曜日
ほくろ | 2011.11.10.木曜日

ホクロの治療を行うにあたって、注意しなければいけないのは、もちろん悪性皮膚腫瘍の扱いです。ホクロに似た皮膚の悪性腫瘍はいくつかに分類されます。
一番悪性度の高い悪性黒色腫は特に転移する傾向が強くその速度も速いので、それまでの病歴(出現した時期やその後の拡大速度)、できた場所、出血などの合併症状の有無、大きさ、形、周囲への滲み出し、皮溝のくずれ、などいくつかの特徴がありますので、疑わしい場合はには、安易に切除したり、削ったりすることはありません。

次に悪性度の高い扁平上皮癌(有棘細胞癌)も、いくつかの特徴があり、色合いがホクロにしては少し薄く、比較的やわらかく、出血しやすい傾向があります。隆起することが多いです。唐突に出現することもありますが、瘢痕と呼ばれる硬い傷で常に擦られる部分や、慢性的に刺激を受けやすい部分発生することが多いです。
小さいうちは、おできのように見えますので、大丈夫だろうと放置されることがあり、クリニックに来院されるころには、相当大きなものになっていることがあります。まん丸ではなく、隆起してくる比較的やわらかいできものには注意が必要です。
扁平上皮癌は悪性黒色腫ほど高い確率で転移しませんが、拡大手術を含む根治手術が必要となります。
悪性度の低いものでは、基底細胞癌があります。一般外来では、この基底細胞癌が一般的なホクロと、もっとも間違われやすい腫瘍です。
当院でも、見た目はまったくホクロと変わらず、大きさも小さく、周囲へのにじみだしもなく、今まで出血したこともないホクロを、ホクロと判断して取っても、1000人に一人くらいの確立で、病理検査でこの基底細胞癌が見つかります。
基底細胞癌は転移することも、周囲への浸潤もそれほどありません。しかし、分類としては悪性として扱われることが多いので、やはり拡大手術が必要です。
珍しいものとしては、転移性の皮膚悪性腫瘍があります。皮膚にできるできものにしては、形が珍しく、多房性であったり、やわらかさがおでき(アテローマ)でもなく、脂肪腫でもなく、石灰化上皮腫でもない皮膚にできる腫瘍の硬さとは違う硬さをしています。
つまり、オリジンと呼ばれる原発巣のガンの特徴をそのまま持って皮膚に現れます。
昔勤めていた病院で、最近皮膚に小指頭大のできものができたと来院された若い女性がおられました。腫瘍本体は皮下にあり、周囲への癒着が軽度あって、アテローマ(粉瘤)ほどコロコロしていませんが、硬さもアテローマのようなカプセルを持った感じではなく、全体が柔らかいプヨプヨした感じでした。
よく見ると、少し離れた皮下にも大きさの違う同じようなできものがありました。臨床所見だけでは何の腫瘍か判断できませんでしたので、やや拡大した様式で、その皮下腫瘍を周囲皮膚とともに切除しました。
病理結果が返ってきて驚きました。卵巣ガンの皮膚転移でした。卵巣ガンは拡大し病状が進行しても、症状が現れにくいガンなので、腹部症状などの他の症状がまったくないのに、皮膚に転移して初めてガンが見つかったのでした。皮膚に数個あった他の皮下腫瘍も卵巣ガンの転移だったのです。
転移性皮膚悪性腫瘍の治療は、まず原発巣の治療が優先されるので、本人さんと家族にそのことをお伝えし、婦人科に検査と治療のために紹介させていただきました。
簡単にホクロと考えていても、何千分の一の確立で悪性腫瘍が混じっていることがありますので、ご自身で安易な判断をせず、また医師以外の人の素人判断を真に受けずに、迂闊に民間療法で処置をせずに、安心して治療を受けられることをお勧めします。
追記2020.5.11
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