毎年4月後半頃から蒸し暑くなり、ワキガや脇汗に関する質問やお問い合わせが増えてきます。
色々ご相談いただくのですが、そもそもワキガとは何なのかについて解説させていただこうと思います。
ワキガは病気なのか?
よくワキガって病気ですか?と質問されることがあります。
ワキガには治療法がたくさんあります。
医学用語では「腋臭症」といって医学的な教科書にも治療として掲載されているため、病気として捉えられがちですが、ワキガ自体を放置したからと言って、その人に将来何か悪いことが起こるというものではありません。ですから、病気というよりは体質という風に考える方が正確だと私は思います。
ただ、病気と捉えられやすい理由の1つに腋臭症の割合が考えられます。
欧米人の人口の大半は腋臭症を持っているため、欧米では腋臭症は当たり前、つまり普通のことですので、治療される方は少ない傾向にあります。
反対にアジアでは腋臭症の方は少ないため、腋臭症=マイノリティになるわけですから治療したいという方が多くなる傾向にあります。
このように人種によって治療する割合が大きく変わることからも病気というよりどちらかというと体質と言えます。
ワキガは遺伝するのか?
ご存じの方も多いと思いますが、ワキガは優性遺伝です。
つまり、遺伝します。親御さんのどちらかがワキガであればお子さんは1/2の確率でワキガになります。
ですから繰り返しになりますが、病気というよりはお顔立ち、身長、体重と同じ体質的な遺伝と同じものだと考えてることができます。
ワキガの原因と臭いのメカニズム
脇の汗腺には2種類あります。
アポクリン腺とエクリン線です。
身体にはこの2種類の汗腺が存在するのですが、実はそれぞれから分泌される汗の成分が異なります。
エクリン線はほぼ全身に分布しており、暑い時や運動時などに分泌される汗で、成分がほぼ水で微量に塩分やアミノ酸、尿素などです。
時間の経過とともに菌が増殖し、アミノ酸などを分解され量が増えてくると体臭を発生させます。
一方、アポクリン腺は脇や外陰部などに存在し、分泌される汗は、水の他にタンパク質や資質、脂肪酸などの成分です。
このアポクリン腺から出る汗が実はワキガの臭いの元です。
汗自体に臭いはありません。しかし、脇にいる常在菌がアポクリン腺から分泌された汗と化学反応を起こし臭いを発生させます。
3-メチル-2-ヘキセン酸というワキ独特の臭いです。(ビニルケトン類のツンとした酸化臭も特徴の1つです)
アポクリン腺は全ての人が持つ汗腺です。しかし、体質差により、その量が異なります。
ワキガの臭いが強い方ほどアポクリン腺が多い傾向にあります。
ですから、ワキガの臭いを抑えるにはまず
・汗を出ないようにする
・バクテリア(常在菌)を減らす
この2点がワキガ治療法の原理ということになります。
因みにこのワキガの元となるアポクリン腺は性的に異性を惹き寄せる動物的な機能や役割(フェロモン)があると考えられています。
正確ではありませんが、男性の体臭は同姓よりも女性の方が強く感じやすいとも言われています。
たまに男性、又は女性がそのニオイが好きだと言う人もいらっしゃいますので、ごくごく自然な生理現象なのだと思います。
ワキガと年齢
ワキガは男性も女性も第二次性徴が始まる頃から段々臭いが強くなります。
思春期です。年齢で言うと10歳頃からです。女性で言うと生理が始まる頃です。
ですから、あまりにも小さい頃(例えば5,6歳)にはワキガの臭いはほとんど出ません。
二次性徴からずっと弱いワキガがあって、40~50歳になって気になり始めたというケースはありますが、逆に二次性徴を遥かに超えて30歳、40歳になってからワキガの臭いが出たという場合はワキガではない可能性があります。
(他の病気で体臭を放つことがあります)
このようにワキガには発生時期に特徴があり、突然30~40歳で急に出てくるものではありませんので診断は臭いと発生時期で基本的には判断します。
ワキガについては本当に色々なご質問やご相談を頂きます。
「自力で治せるのか」「手術とミラドライどっちがいいの?」「治療後再発の可能性はあるのか?」「治療リスクは?」「手術以外の予防法はないのか」など様々です。引き続き、ワキガについて詳しく解説してまいりたいと思います。
Youtubeでもワキガに関する情報をアップしておりますので、詳しく知りたい方はそちらも是非参照ください。
◆ワキガに関する他の記事
→剪除法orミラドライ どちらを選ぶべきか
→ミラドライの効果と再発の可能性について
◆ワキガの治療詳細
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