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ワキガの治療は結局どれを選ぶべきか

わきが・多汗症
2020.07.22.水曜日
わきが・多汗症 | 2020.07.22.水曜日

 

これまで、ワキガに関してはいくつかご紹介させていただきました。

ワキガは病気なのか?何故ワキガになるのか。
ワキガは自然に治るのか?有効なワキガのセルフケアはコレ
ミラドライの効果と再発の可能性について

 

ワキガに関しては沢山のご質問を頂きますが、その中でも最も多いのが治療方法についてです。インターネットでワキガ治療を調べると様々な治療法の情報で溢れていると思います。
吸引法、超音波法、剪除法(せんじょほう)、ミラドライや独自の治療法と称するオリジナルの治療法など様々です。

ワキガの治療の原理は「ワキガは病気なのか?何故ワキガになるのか。」でもご紹介した通り
・汗を出ないようにする
・常在菌を減らす
の2通りになります。

多くの治療法は「汗を出ないようにする」治療、つまり、アポクリン汗腺を減らす治療法です。
治療法も様々ですが、(メスを使った)手術、そして、メスを使わない”切らない治療”があります。

それぞれの治療法に短所と長所があります。
しかし、何を重要視するかによって、治療の選び方は変わってきます。
ですから、必ずしも全ての人にこの治療法が良いと断言出来るわけではありませんが、これからご紹介する内容が治療法の選択に一助になれば幸いです。

手術によるワキガ治療

保険が適用できるワキガ治療

手術にも色々あります。
その中でも、まず、保険が適用される剪除法(せんじょほう)があります。
脇を上げた状態でワキガの元となるアポクリン汗腺が多い毛の生えている部分よりも一回り二回り大きな範囲に麻酔し、だいたい3-4センチの皮膚切開を加え、実際に皮膚を裏返して直接アポクリン汗腺を目視して削ぎ落していきます。(剪除という言葉は削ぎ落すということです)

ですから、効果としては非常に良く、再発率が極めて低い治療法です。
ただ、いくら上手に手術を行っても少し傷が残りますし、人によってはシミになったり、シワになったり、デメリットもあります。
特に女性の方、若い女性の方は傷が残ると恥ずかしくて脇を上げることができないという風におっしゃる方も多く、こうした副作用もありますので、なかなか全ての方にお勧めできるというわけではありません。

【剪除法は全員が保険適用にはならない】

ワキガ治療において、保険が適用できる治療法として剪除法があります。
しかし、実は全員が適用されるわけではありません。適用になるには国のルールで条件が以下の通り定められています。

悪臭はなはだしく他人の就業に支障を生じる事実が明らかであって、客観的に医療を加うべき必要がある場合は給付して差し支えない。軽度のものは給付外

つまり、「周囲に迷惑が掛かるくらい強いニオイの方」が適用対象ということになります。
患者さん本人が「気になる」かどうかではなく、客観的に上記の対象であるかどうかが保険での手術になるかどうかが決まります。
もし、保険適用外の場合は別の治療法を選択頂きます。
保険適用の範囲かどうかは診察時、ガーゼテストでチェックさせていただいてます。

吸引法・超音波法

当院では実施しておりませんが、アポクリン汗腺を減らす治療法として吸引法や超音波法があります。
また、脇に小さな穴を開けて超音波のプローベを差し込んでアポクリン汗腺を破壊していくという治療法もあります。
いずれも、傷が小さく済むのにアポクリン汗腺を除去できる点では優れていますが、自費治療となり保険が適用されません。
ですから、手術なのに保険が適用されないのは少しデメリットではないかと考えます。

剪除法(せんじょほう)

冒頭でも簡単にご紹介しましたが、保険適用の剪除法は皮膚を裏返して直接アポクリン汗腺を削ぎ落していきます。
従いまして、狙ったアポクリン汗腺は確実に削ぎ落すことができますので、非常に良い効果を上げることができます。
感覚的な評価になりますが、約8~9割ぐらいニオイが減ります。
ただ、100%を取り除くことはできません。
手術中、アポクリン汗腺はできるだけ根こそぎ削ぎ落しますが、手術範囲外であるアポクリン汗腺の多い毛が生えているところの周囲にも少し存在している理由もあり、個人差はありますが、1-2割程度のニオイは残ると言われています。効果としては抜群ですが、やはりゼロになることはありません。(一般の方にもアポクリン汗腺は一定量必ず存在します。ですから、8-9割減らすことで一般の方と同じ状態に近づくとお考えください)

当然、剪除法にもデメリットがあります。
それは、冒頭でもご紹介したように、傷が残る点に加え、手術した後、腕を動かすことができません。
ですから、両脇を一度に手術することができません。片脇ずつ実施します。
早い方で、もう片方を最初の手術から1週間後に実施します。
いずれも、術後の1週間極力動かさないようにしていただきます。1週間経過すれば、腕を動かすことは可能ですが、激しい運動や高いところの物を取ったりなどはできません。また、抜糸は術後約2~3週間経過してからになりますので、最短実施しても3~4週間程度は生活に影響することになります。
また、手術後の痛みも極端に痛いわけではありませんが、少し痛みを伴う手術になりますので、痛み止めを内服いただきます。

日中、お仕事している方が剪除法の手術を受けることは中々厳しいという意見も耳にしますが、ニオイが酷く、且つ、お時間が取れるのであれば、保険適用の剪除法の選択はありだと思います。

切らないワキガ治療「ミラドライ」

剪除法は日常生活の制限が強いられるため、中々治療出来ない方もおおくいらっしゃいます。
そんな方には、ミラドライという切らない治療法があります。
保険適用ではなく、自由診療になるため、治療費は高くなりますが、傷が残らず当日両脇の治療が可能であり、生活制限のない画期的な治療法です。よく再発や効果が薄いなどの情報もインターネット上で見かけますが、そんなことはありません。

たしかに1回の治療で剪除法と比較すると剪除法は8-9割のニオイを抑えられるのに対し、ミラドライは6~8割です。
しかし、術後の副作用などを総合的に加味とするとお勧めの治療法です。
治療効果だけでいうと、ミラドライは2回目の照射も可能です。2回治療するとニオイが抑えられる割合はほぼ9割以上に達します。
ほとんど2回目を希望される方はいらっしゃいませんが、2回目の治療という選択肢がある点も優れた治療法と言えます。

ミラドライに関しては別の記事でもかなり詳しくご紹介しています。
是非そちらもご参照ください。

ミラドライの効果と再発の可能性について
(ワキガ治療)剪除法orミラドライ どちらを選ぶべきか

ワキガ治療後、再発する可能性はあるのか?

ワキガ治療でよく受ける質問は「再発」についてです。
再発は剪除法の手術に限らず、ミラドライ含め全ての治療で言えることとしてまず、処置直後は汗の量が急激に減少します。それに伴いニオイも減ります。
ゼロになったのではないかと思うくらい手術後、処置後はニオイがドンと減ります。それはもちろん、ニオイの元となるアポクリン汗腺が破壊された結果もあります。
ただ、それ以外にもう1つ汗が一時的に減る理由があります。
それは、発汗を促す神経作用の一次的な中断です。
手術や処置を行うと、汗を出す、出さないを支配する神経が一旦絶たれます。
しかし、神経は伸びて再生しますので、残った一部のアポクリン汗腺やエクリン汗腺とつながり、汗を出す機能を復活させます。

ですから、手術後に戻った感じがするのは、手術範囲の周辺に残っている汗腺が神経の回復によって発汗機能が復活し、再発したように感じることがあります。
当然ですが、ちゃんとした手術、処置を行っていればこうした神経の回復があったとしても治療前の状態に戻ることはありません。

ただし、例外的な症例があります。
それは、アポクリン汗腺を取り除く剪除法を若い時期(10~12歳など)に実施した場合、再発のリスクがあります。
理由は、第二次性徴の時期にアポクリン汗腺は発達します。ですから、第二次性徴の真っ只中にアポクリン汗腺を除去しても発達途中ということもあり、新たなアポクリン汗腺が生成される可能性があります。
ですから、あまり早い時期に傷の残りやすい切る手術は私はお勧めしていません。

ワキガ治療は結局どれを選ぶべきか。

治療効果や保険適用という点で費用的にも剪除法は優れた治療法です。
しかし、副作用を考えると全員にオススメできる治療とは言えません。
生活制限を強いられず、術後の副作用が少ないリスクの少ない画期的な治療法として、ミラドライがありますが費用面や1回の効果では剪除法には劣ります。

それぞれの治療法にはメリットもありデメリットもあります。
やはり、どの治療法がよいかは一人ひとりの症状や程度、生活スタイルやニーズによって異なります。
大切なのは、一人で悩まず信頼できる医師のもと、自分によってベストな治療法を知り、安心することだと思います。

一人で悩まずご相談ください。ご相談だけでも結構です。ご予約の上、診察にお越しください。
一緒にあなたのワキガに関する悩みを解消するお手伝いができれば幸いです。

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ミラドライの治療詳細

剪除法の治療詳細

ワキガについては本当に色々なご質問やご相談を頂きます。
「ミラドライは再発する?」「手術とミラドライどっちがいいの?」「治療リスクは?」「手術以外の予防法はないのか」など様々です。
引き続き、ワキガについて詳しく解説してまいりたいと思います。
Youtubeでもワキガに関する情報をアップしておりますので、詳しく知りたい方はそちらも是非参照ください。

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