ホクロに悩んでいる方、ホクロを除去したいと考えている方のため、今回は、ホクロをテーマにお話をさせていただきます。
私も昔は顔にホクロが多くて、「どうして自分だけこんなに顔にホクロが多いのか」と悩んだことがありました。
「どうしてホクロはできるのか?」「ホクロは予防できるのか?」といった疑問を持つ方が多いかと思いますので、今回はホクロができるメカニズムと原因についてわかりやすく解説します。正しい予防方法までご紹介するので、ぜひ最後までお読みください。
ホクロって何?
ホクロは、病理学的には「色素性母斑(しきそせいぼはん)・母斑細胞性母斑」と呼ばれます。
ホクロには他にも種類があるのですが、一般的にホクロと呼ばれているものは「色素性母斑」と「母斑細胞性母斑」の2つです。そこで、今回はこの2つの母斑について説明していきます。
ホクロは腫瘍の一種?
皮膚の中には「母斑細胞」という細胞があり、そこで色素が作られ黒いホクロになります。
一般的にホクロと呼ばれていますが、皮膚病理学的にはホクロは腫瘍の一種に分類されます。腫瘍というと怖い印象があるかもしれませんが、腫瘍とは体の表面や体の中に、かたまりとして触れたり、色が違っている部分のものを総称して呼ぶ名称です。
腫瘍であるため、治療としては「切り取る」「削り取る」という処置を行うのが一般的です。色を抜くだけの処置で足りる「シミ」とは違うと覚えておくと分かりやすいと思います。
できる場所や発生する時期は決まっていない
「出物腫れものところかまわず」という言葉があるように、おでき・できものは場所や時期にかかわらず出てきます。ホクロは腫瘍性の皮膚疾患とお伝えしましたが、ホクロも「できもの」に分類されるので、場所や時期に決まりはなくいつでも出てくる可能性があります。
ホクロは遺伝性!?
当院にもホクロ治療でたくさんの患者様が来られ、その際に患者様がよく言われることがあります。
それが、「母もホクロが多いんです。」「父も同じところにホクロがあるんです。」といった、家族からの遺伝性を示唆するお話しです。
ご両親にホクロが多いと子どもにもホクロが多いというケースはあります。
ホクロは腫瘍性の病変ですが、少なくとも遺伝的な影響があるように私は考えています。
少し抽象的な表現になってしまいますが、ホクロは体質的なものが関係していると思います。白髪や薄毛などのように、両親の体質が子どもに受け継がれるのと同様です。ホクロのできやすさ・数の多さは両親から体質として受け継ぐ可能性があると思います。
ホクロの多い原因とまではいいきれませんが、ホクロの多い・少ないは体質によると考えていただくことは問題ないでしょう。
ホクロとシミの違い
よくホクロと似たものと比較される、同じく顔に限らず体のあちこちにできる色の変化として「シミ」があります。ホクロとシミのどっちか区別がつきにくいと迷われるケースもあるでしょう。
「シミ」の種類によってはホクロと似ているものもあるので、次にホクロとシミの分類と違いについて解説していきます。
①見かけ上の違い
ホクロは、腫瘍性の変化なので原因は特定されておらず、自然に発生するものです。
大抵の場合、形状として平らでも膨らんでいても、塊として存在しているものがホクロです。
一方のシミは、塊ではなく色の変化・メラニン色素の変化です。形状的に膨らんでいるシミというのは基本的にはありません。このような形状的な違いで区別するのが、ひとつめの方法です。
その他にも肌との境界についても違いがあります。ホクロは境界部分がハッキリとしています。シミに関しては肌の境界がハッキリとしている場合もありますが、多くは境界が曖昧だったりぼやけていたり、さらには色がまだらだったりします。
このように肌の境界において、ハッキリとした境界がなく様々な変化を伴うのがシミになります。もちろん、ホクロでもまだらなホクロなどもありますが、その多くは肌との境界がハッキリとしていることが特徴です。
まとめますと、見かけ上の違いとしては、色や肌との境界がハッキリとしているのがホクロです。少し薄く平らで肌との境界が比較的ハッキリしていないものがシミと区別することができます。
②紫外線による影響の違い
ホクロとシミの違いにおいて、一番の違いは紫外線による影響を受けるかどうかです。
シミは紫外線による影響を受けてできるものです。
紫外線が皮膚の深いところに届いて、組織を傷つけるのを防ぐために色素を作り体を守るというのがシミができるメカニズムです。
一方のホクロについては腫瘍性変化なので、紫外線から組織を守るためにでてくるものではありません。ホクロが紫外線の影響で色が濃くなることはあっても、紫外線が原因でできることは基本的にはありません。
③治療方法の違い
形態的な差や発生原因の違いがあるため、ホクロとシミでは治療方法も異なります。
ホクロは腫瘍性なので切り取る、削り取る、又は切って取るといったように細胞を取り除く処置を行います。中には、ホクロの色を抜くだけの治療をする医師もいますが、母斑細胞自体は残ってしまうのでほぼ再発して、再び黒色に戻ります。
一方のシミについては、メラニン色素も含めて色を取り除けば良いため、皮膚を削る必要はほぼありません。色素だけをとるレーザー治療などを行うのが主流です。
このように治療方法においてもホクロとシミは違いがあるのです。
ホクロとシミは間違いやすい!?
以上のような違いがあるにもかかわらず、ホクロとシミを間違う患者様はいらっしゃいます。確かに、見た目だけでは区別がしづらい場合があるのです。
その場合は十分に診察を行い、どちらかかを特定してから治療を開始します。
そこで一つ指標となるのは発生時期です。一般的にホクロの場合には昔からあることが多い印象があります。そばかす以外のシミはある程度の年齢になってから出てくることが多いです。
診察の際には、いつから出てきたかなどを詳しく問診した上で、さらに専用の機械により拡大して観察を行い、ホクロかシミか判断していきます。
ホクロ・シミと間違いやすい「脂漏性角化症」
さらに、もう一つ、ホクロとシミと間違いやすい組織があります。
腫瘍性のホクロと紫外線の影響で発生するシミの間のような「脂漏性角化症」という組織です。
この脂漏性角化症は、あまり良い呼び方ではないのですが”老人性のイボ”と呼ばれることがあります。脂漏性角化症は少し膨らみがあり、盛り上がったような形状で、肌との境界がある程度ハッキリしていて、褐色・茶色のできものになります。
見た目はシミにそっくりですが、触ってみると膨らんでいるのでホクロに近い組織だとも言えます。そのため、患者様の多くはこの脂漏性角化症をホクロやシミと勘違いされがちです。
なお、脂漏性角化症は、医師によっては腫瘍性のホクロに近い組織と分類される場合もあれば、シミに近い組織と分類される場合があります。
脂漏性角化症の原因と治療法は?
脂漏性角化症の一番の原因は年齢・加齢性の変化です。そして、その次に紫外線による影響も考えられています。
ホクロやシミだと思って相談に来られる方がいらっしゃいますが、治療方法は少し違う扱いになります。自己判断では判別が難しいため、医師に相談することをおすすめします。
ホクロ・シミ・脂漏性角化症の予防方法
ホクロ・シミ・脂漏性角化症の3つの組織についてご紹介してきましたが、それぞれ予防方法も異なります。
まずはホクロですが、腫瘍性の変化なので予防はなかなか難しいと考えます。万が一、できてしまった場合には切って取る、削って取るという処置が必要になります。その一方で、脂漏性角化症の場合には紫外線よる変化を受けやすいため、紫外線予防をすることで増やさないように防ぐことは可能です。
また、ホクロに似たシミも、紫外線の影響が大きいと言えます。シミを予防するにも紫外線対策をしっかりすることが基本と言えるでしょう。
ホクロの予防は難しいが治療は可能
ホクロの予防方法についてお話をすると、「ホクロの予防方法はないんですね。」とがっかりされる方も多いです。体質的な要素もあるため、ホクロの予防は難しいのが現状です。ただ、脂漏性角化症やシミは予防することができるので、諦めずにしっかりと紫外線対策は行っていくことをおすすめします。
また、ホクロであった場合にも諦めずに、まずは当院にご相談していただけたらと思います。ホクロ・シミ・脂漏性角化症、それぞれのケースに適したアドバイスや処置を行います。ホクロの治療については除去も含めて、本サイトの他の記事で詳しく解説しているのでそちらの記事を参考にしてください。