ほくろ除去を希望される患者さんには、ほくろを取ったあとの赤みは数ヶ月間続くと説明しています。2-3ヶ月がもっとも赤く、6ヶ月くらいかかってゆっくり赤みはましになってきますが、最終的には赤い小さい跡として残ります、とまで言います。
しかし、実際は赤みが残る人のほうが少ないです。炭酸ガスレーザーでほくろを削ってとった跡は、いったんヤケドと同じ状態になります。医学的に言いますと、表皮が欠損した状態です。
表皮の欠損した状態を、皮膚潰瘍や糜燗(びらん)と呼びます。潰瘍面の周囲から表皮細胞が中央に向かって這うように伸びだして、傷が埋まっていきます。
新しい表皮で埋まった部分は、傷が閉じる過程で、周囲に比べやや血行が豊富な状態なので、赤く見えます。また、出来上がった表皮が未熟で薄いこともあり、透きとおって赤く見えます。
この創傷治癒過程がさらに成熟すると、いったん血行が亢進した状態が安定して、周囲の血行状態と変化がないくらいになり、赤みがゆっくりましになってきます。その期間が、2-3ヶ月から6ヶ月くらいとなります。
処置の前に、赤く残りますと説明されて、傷が消えると嬉しいですが、逆に、傷はまったく残りませんと言われて、跡が残ってしまうと、処置を受けたことを後悔することになります。
ほくろの治療に限らず医学的な治療を行う場合は、その副作用やリスクに関して処置前の説明ではやや過剰に重く説明する傾向があります。
過大な期待と良すぎる結果だけを患者さんが抱くことのないように、針小棒大に誇張することはないにしろ、やや、副作用を大袈裟に説明させていただきます。
もし、副作用を過小に想定し効果を過大に説明して処置を勧めるとしたら、その医師にとっても患者さんにとっても、幸せな結果にはならないと思います。
ほくろの徹底解説シリーズ