甘い物を食べるとニキビが増えると言われています。特に、チョコレートはニキビが増えやすいと思われています。
アメリカのペンシルバニア大学の先生が、チョコレートを食べた人と、食べない人でのニキビの増え方を調べた研究論文があります。わたしもその論文を読みましたが、統計的には有意差がないとの結果でした。つまり、チョコレートとニキビの悪化とは無関係だと言っています。
この結果だけを知らされると、大学の先生が論文で差がないと言っているので、チョコレートを食べてもニキビは増えないと、証明されたように思えます。
しかし、違います。統計的にその差を証明出来なかったということで、増えないと言っているわけではありません。
統計的に差があるか無いかを判断する時に、危険率を設定します。この危険率とは、差があると断定した時に、”うそ”が何％含まれているかの基準です。
ですから、チョコレートを食べてニキビが増えると統計的に判断する（有意差がある）と言うためには、危険率を高くすれば、”ニキビは増えない”となり、、逆に危険率を低くすれば、”ニキビが増える”とすることができるのです。
この論文で先生が、ズルをして結果を導き出しているのではありません。この論文の結論は、チョコレートでニキビが増えるとは統計的に（科学的に）証明出来なかったということです。チョコレートでニキビが増えないと証明された訳ではないのです。
（回りくどい言い方ですみません。）
私もこの論文を読んでから、チョコレートではニキビは増えないと信じましたし、患者さんにもチョコレートでニキビは増えないと証明されていますと言っていました。
しかし、多くのニキビの患者さんと接して治療させて頂いていると、やはりチョコレートを食べるとニキビが増えると言われる方が多いのです。現場では、統計的にはとらえることができなくても、事実として、ニキビが増えているのです。
チョコレートが悪いと言っているのではありません。当院では適切な処置を、しっかりしたホームケアで、食べ物に気を遣わなくても、治るニキビ治療を行っています。好きな食べ物を我慢してストレスをためて、ニキビを増やしてしまうよりは、適切な治療を行って好きな物を食べる方が、幸せですよね。
論文になってしまうと、厳然たる事実のようにとらえがちですが、それがすべての正解ではありませんので、注意して読まないと誤解が生じてしまいます。

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