最近ヒアルロン酸注射の大量注入問題が取り沙汰されていますが、では、どの程度の量が適切なのでしょうか?
この答えを出すのはむずかしいことですが、基本にたちかえって考えてみます。
当院で使用している厚生労働省認可ヒアルロン酸製剤の注意書(能書)には1ヵ所に2ml以下が望ましいと記載されています。これは、1ヵ所にうつ場合の上限です。実際の臨床の現場では1ヵ所に2mlもヒアルロン酸注射することはまずありません。顔全体として2mlを超えることはあります。仮に1ヵ所に2ml注射すると不自然な盛りあがりになったり、ヒアルロン酸がダマになってしまい、周囲組織となじむことなくカプセルを作り、感染の原因となってしまいます。
また、この注意書(能書)には、注入が表皮に近い場合、又は狭い範囲に大量の注入を行った場合、長期にしこりや変色が残ることがあるので、 しこりの形成を抑えるため広範囲に少量(0.1~0.2mL程度)ずつ注入することが望ましいとも記載されています。0.2mlは少ない量ですが、これは表皮や表皮近くの浅い部分にうつ場合のことで、確かに浅い部分にうつ場合はごく微量にしなければ、しこりになり凸凹感がでてしまいます。
となると、1ヵ所で2ml以下、浅い部分であれば0.1ml程度の量を守れば、上限なしにヒアルロン酸注射はうてるように思われますが、そうではありません。仮にたくさんうつことが可能だとしても、パンパンに腫れるほど注射すれば仕上がりが不自然になります。これはみなさんよく芸能人のひとでパンパンになっている人を見かけるので想像にかたくないですよね。
具体的な量は年齢や老化の進行具合によって、必要量に大きな差があるので適切量を具体的に決めることはできません。しかし、少なくとも、ヒアルロン酸注射は単に脹らませるのではなく、年齢による変化として、骨格の損失・後退、筋肉の肥大・拘縮、皮下組織・靭帯の弛緩・下垂などの、顔の老化のメカニズムをしっかり理解した上で、適切な場所に適切な量を、バランス良く注射する必要があります。
当院では、日頃から多くのヒアルロン酸注射ご希望の患者さんが来院されますが、他院さんよりは比較的少ない量を勧めるので、実感が少ないこともありますが、できるだけ少ない量でより効果が出るように創意工夫しております。
▼つかはらクリニック▼