他院で手術してもらった二重埋没の糸を抜いてほしいとの依頼をときどき受けることがあります。一見、糸を抜くだけなので簡単に思われがちですが、二重埋没の抜糸は大変難しく、当院では原則として他院の二重埋没手術の抜糸はお断りさせていただいています。
一般の人が想像されるより、はるかに埋没した糸の結び目を探すのが難しいのです。二重埋没手術の際に、結び目を内側にするか外側にするか、先生によって違います。さらに、糸を入れる位置が先生によって違うので、糸を抜くための穴を開ける位置を決めることができません。
もし仮に、結び目を探すための切開位置が決まったとしても、最小限の小さい小さい穴から糸の結び目をを見つけるのは至難の業なのです。
当院では決まりがあって、最初の二重埋没手術の際に、結び目は内側で行い、穴を開けた位置は目頭から何mmと記載するようにしています。さらに、万が一抜糸する時に探しやすいように青色の糸を使っています。
ですから、当院で手術をした人が、万が一糸を抜く場合はその部分を探せば、見つかる可能性が高いです。それでも、なかなか結び目が見つからないこともあり、探している間に出血し腫れが強くなることもあります。
簡単に思える抜糸ですが、見つからない場合は小一時間かかる場合もありますので、当院で二重埋没の糸を抜く場合は、あらかじめ患者さんに1時間探しても見つからない場合は、いったんあきらめて下さいと説明させて頂いてから、処置を行います。
たかが抜糸されぼ抜糸。匠の世界は奥が深いです。