つかはらクリニック院長のブログ

つかはらクリニック院長のブログ

公式Youtubeチャンネルでも配信中
公式Youtubeチャンネルでも配信中

プロの技術。ゴルフと血管吻合

形成外科・皮膚科
2008.04.27.日曜日
形成外科・皮膚科 | 2008.04.27.日曜日

今、週に一回ゴルフを習っています。まだ始めたばかりで、やっと前に飛ぶようになってきています。
ゴルフは、直径たった4センチほどのボールを長い長いクラブを用いて100m以上もの距離を正確に飛ばしていく技術が必要とされる競技です。当たり所が1mmずれれば100m先では何mも飛ぶ位置がずれてしまいます。クラブヘッドがボールを捕らえる時は、数ミリ単位での精度が要求されます。
私たち形成外科医は、血管吻合と呼ばれる手技を用いた手術を行います。切断された指の血管や、血管をつけたままの筋肉を移植する際に用いる手技です。直径1mmの細い細い血管に6針から8針の糸をかけて、吻合部分から血液が漏れることなく血管内をよどむことなく血液が流れるように縫わなければいけません。
この血管吻合は顕微鏡を見ながら行う手技ですが、血管を縫う際の術者の指の動きは、0.01mm以下の精度で指を正確に動かさなければなりません。自分の指でも最初から誰もが正確にこの精度で指を動かせるわけではありません。繰り返し繰り返し、実験モデルなどで練習することでできるようになる手技です。
練習を繰り返すことで私たちの指は、0.01mm以下で精密に動く自分の指の動きをを感じ、正確に指を動かすことができるようになります。つまり、指のセンサーが極めて敏感に鍛え上げられます。ゴルフのプロも同じようにセンサーが鍛え上げられて、小さいボールを長いクラブで、あれだけ正確に打てるのだと思います。
大規模集積回路(コンピュータチップ、LSI)を作る機械の表面は、極めて厳密な正確さが必要とされ、かすかな凸凹があっても、LSIを作ることはできません。このLSIを作る機械の表面を削る職人さんは、ナノメータ単位の機械表面凸凹を、手で触ることでわかるといいます。ナノメータは100万分の1mmですので、人の手は鍛えれば機械でも簡単には測れない精度で変化を読み取ることのできる高精度なセンサーになります。
プロの職人には、鍛錬に基づく超高度な精密さが共通に要求されます。人間の能力は鍛え上げれば鍛えるほど、センサーや運動能力の精度が上がり進歩発達します。人には無限と思えるほどの可能性が潜んでいますが、当然鍛えなければ、この潜在能力は日の目を見ることはなく進歩もありません。
もし、これから形成外科を目指す若い先生や研修医の先生がこのブログをお読みでしたら、ご自身の指先の精度を鍛え上げてください。どんな機械も及ぶことのない人の手の無限の能力も鍛えなければ、役にはたちません。

ここを↓クリックしていただければ、はげみになります。よろしくお願い申し上げます。

にほんブログ村 美容ブログ 美容皮膚科へ
ウルトラセルQ+

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。