鼻の下のほくろを
取られた患者さんが
先日、処置後の
再診にご来院されました。
私が
”上唇でしたね？”と
たずねますと、
患者さんが
”いいえ、鼻の下です”と
お答えになりました。
どちらかが
聞き違えたように
思えますが
どちらも間違えでは
ありません。
一般には、
”唇”といえば、
口紅を塗る
赤い部分を
唇と考えますが
医学的には”唇”は
鼻の下も唇で
白唇部と呼び
唇の一部となります。
鼻の下は、
白唇部なので
私は
”唇”ですねと
たずねても
患者さんは
赤い部分と
考えますので
唇ではありませんと
お答えになったのです。
医学用語は
言い回しが
難しいだけではなく
その使い方に
一般的な使い方と
少々違うことがあるので
時々このように
食い違いが
生じることがあります。
”清潔”という言葉も
一般の使い方と
医学的な使い方は
違います。
医学的な”清潔”は
一匹の細菌も
存在しない状態をさします。
手術器具は全て”清潔”で
繰り返し洗った
消毒した手でも
決して素手では
触れてはいけません。
医学生は
この”清潔”の概念が
一般的な清潔と
区別できるように
なるまでは
手術室では
一切のものに
触れないように
きつく言い渡されて
いつまででもいつまでも
片隅で立ちつくす
こととなります。

ここを↓クリックしていただければ、はげみになります。よろしくお願い申し上げます。