ニキビが治らなくて悩んでいる、ニキビの治療を受けようと考えているという方はいませんか?また、自己流のニキビケアで、かえってニキビを悪化させている可能性もあるとしたら怖いですよね。
ニキビ治療はその種類と原因ごとに最適な方法を選ぶことが大切です。また、合わせて最適なセルフケアを取り入れることが、ニキビの悪化を防ぐことにも繋がります。そこで今回は、ニキビの治療法と対処法についてご紹介します。
ニキビの種類と原因
ニキビは進行の度合いによって、白ニキビ、黒ニキビ、赤ニキビ、黄ニキビと分けられ、それぞれ症状に違いがあります。また、種類の違いにかかわらず、ニキビの原因には以下の3つが考えられます。
1. 皮脂分泌の亢進
2. 毛穴の詰まり
3. 毛穴の常在菌(アクネ菌)の増殖
その他に、ニキビに似た疾患として常在菌ではないマラセチアなどの真菌による「マラセチア毛包炎」や「脂漏性皮膚炎」などがあります。
ニキビもマラセチア毛包炎も原因は似ていて、毛穴の詰まりや皮脂の過剰分泌が原因です。炎症の元となる細菌が増殖し、皮膚疾患を引き起こします。
ニキビ治療の根本は原因を解消すること
根本的な原因はホルモンバランスの乱れなどがきっかけで、毛穴周辺の角化により毛穴が詰まりやすくなっていること、また肌質や体質の変化により皮脂の過剰分泌が起きていることです。
そのため、ニキビ治療においては今起きているニキビの症状に対する治療と併せて、根本原因を解消していくことが完治への近道です。
間違ったニキビの治療法
ニキビは対処の方法を間違うと、かえって悪化させることも多い病気です。では、ニキビを逆に悪化させるのはどのような治療法なのでしょうか。ニキビを悪化させてしまう間違った治療からお話しします。
①ニキビを乾燥させるのはダメ!
まず1つ目にあげられるのが、ニキビを乾燥させてしまうことです。
昔はニキビを乾燥させる治療方法がありましたが、現在では乾燥させない治療が一般的です。「イオウカンフルローション」と呼ばれるニキビ患部を乾燥させる薬がありましたが、現在はほとんど使われておりません。
もちろん現在でも、ニキビを乾燥させて治療している医師はいるかもしれませんが、当院では行っておりません。
②ニキビの洗いすぎは注意!
ニキビができている部分の洗いすぎにも注意が必要です。洗い過ぎると余計に悪化してしまう可能性があります。
皮脂の詰まりがニキビの原因であるため、それを取り除くために頻繁にもしくは強く顔を洗い過ぎる患者様がいますが、これは逆効果です。皮脂の取り過ぎにより皮膚が乾燥して、余計に皮脂分泌を促すことでニキビを悪化させてしまう可能性があります。
患者様の中には「しっかり顔を洗わないとメイクアップ化粧品を落とし切れていないのではないか?」と心配される方も多いです。ただ、最近の化粧品はコメドフリー・アクネフリーなど、ニキビを悪化させる成分を抑えるように製造方法も工夫されています。
そのため、顔を洗った後に多少メイクアップ化粧品が残ってしまっても、ゴシゴシ洗い過ぎるよりは良いかと思います。
③ニキビは潰したらダメ!
最後に紹介する間違ったニキビの治療法が「潰す」ことです。最もニキビの治療としてやってはいけないのが、潰すことになります。
ニキビを潰してしまうと、周辺の皮膚に炎症が波及してしまいます。そして、元々のニキビの範囲よりも広い範囲に「瘢痕」と呼ばれる硬い組織が作られてしまいます。
経験された方もいると思いますが、簡単にいえばニキビ跡がひどい状態になってしまうということです。
ニキビを潰したことで瘢痕組織ができあがり、さらには炎症により膨らんでしまったり陥没したりする可能性があります。そうなると、ニキビそのものの治療と併せて、ニキビ跡の治療も必要になってしまいます。また、この瘢痕組織の治療は少し大変な治療になるので、悪化させないに越したことはありません。
まずは保険適用のニキビ治療から
では次にいよいよ、正しいニキビの治療法の紹介をしていきます。
当院では今まで全くニキビ治療をしたことがない患者様、軽症の患者様には、保険適用のニキビ治療をおすすめしています。
昔のニキビの治療法はニキビがそれ以上悪化しないように抑えるだけの治療が主流でした。しかし、現在では新しくニキビができないようにするための軟膏が登場するなど、昔に比べれば保険適用で可能なニキビ治療も幅が広がり進化しています。治療法が確立していることはもちろん、さらにコスト的な問題からも初めての方や軽症の方は保険適用のニキビ治療がおすすめです。
便秘が原因のニキビは整腸剤も有効
最近注目されているのが、ニキビと便秘の関係です。便秘がニキビを悪化させる可能性があると考えられています。
これには腸内環境が関係しており、腸内環境は便秘だけではなく肌の状態にも関係していることが明らかになってきています。便秘の患者様は腸内環境が悪化している可能性があるということです。
そのため、便秘が原因のニキビの場合は、整腸剤などを使ったニキビ治療も最近では行われています。ニキビ治療は腸内環境から治療していくことも時には必要なのです。
難治性のニキビなら、自費診療のニキビレーザー治療?!
保険適用の治療でなかなかニキビが改善されない患者様や慢性的にニキビができてしまうという患者様には、自費診療をおすすめしています。
当院の自費診療ではオリジナルのピーリングを含めた、複数の処置を組み合わせたニキビレーザー治療をおすすめしています。
ニキビレーザー治療は、保険適用の治療と比べるとより効果の高い治療法にはなりますが、残念ながら1回で完治というわけにはいきません。
内容としては、ニキビが今以上に悪化しないように以下のような処置をします。
● ニキビができにくい肌質環境をつくる
● ニキビの発生原因である皮脂の過剰分泌や毛穴の詰まりを抑える
● 肌のターンオーバーを促進して自然治癒力を高める
ニキビレーザーの治療方法
では、ニキビレーザー治療はどのような治療法なのでしょうか?ニキビレーザーといってもその治療内容は医療機関によって異なります。そこで当院のニキビレーザーの治療法の流れを簡単にご紹介します。
①ケミカルピーリング
まず表皮の汚れを落として、角質除去するケミカルピーリングを行います。ピーリングで詰まった毛穴や角栓を溶かして剥離して除去します。
②ジェネシスレーザー
次に、ジェネシスレーザー(Nd:YAGレーザー)を用いて、皮脂腺の働きを熱エネルギーで抑制します。それと同時に皮膚のターンオーバーを促進させ、自然治癒力を高めます。
③ビタミン投与
最後に皮膚の細胞の働きを活性化させてくれるビタミンA、C、E、ベータカロテンを塗布してます。ビタミンの作用で乱れた肌質を正常に戻すよう促します。
当院のニキビレーザー治療ではこの一通りの流れを行います。レーザーだけではなく前後にピーリングとビタミン投与を併用することで、より効果的に治りにくいニキビにアプローチします。
トレチノイン酸軟膏によるホームケアも大事!
院内での治療も大事ですが、併せて行っていただくのがホームケアです。
ホームケアとしては、ニキビに非常に有効な「トレチノイン酸軟膏」を使っていただきます。トレチノイン酸軟膏によりニキビができにくい肌環境を維持します。
また、肌のターンオーバーを促すことで、新しい細胞が生まれてくるまで治療を継続することができます。
<トレチノイン酸軟膏について>
トレチノイン酸軟膏について、もう少し掘り下げてご紹介します。
トレチノイン酸軟膏は、ホルモンバランスの乱れで角化した毛穴や皮膚を柔らかくする作用があります。その他にも、皮脂分泌を抑制する作用などがあります。
海外では広く使われており、ニキビの特効薬と言われるものですが、国内においてはまだ高濃度のトレチノイン酸軟膏は市販されていません。
そのため、当院ではこのトレチノイン酸軟膏を院内で一つ一つ調合して患者様に販売しています。
ニキビ治療だけでなく、トレチノイン酸軟膏は非常に有用性の高い治療薬です。アンチエイジング効果も期待でき、美しい肌を保つための塗り薬として活躍してくれる軟膏です。
ニキビレーザーの治療期間は?
それぞれの患者様の症状により治療期間は異なりますが、当院のクリニックでの治療では
ピーリング単独の場合は2~3週間に1回が目安です。
ニキビレーザーを含む治療では、3~4週間に1回のペースで、4〜6回ぐらいを目安に治療を行います。それぞれの状態によっても治療期間は変わりますので、詳しくは当院にご相談ください。
ニキビは正しい治療法の選定が大切
ニキビはありふれた皮膚疾患ではありますが、実はその原因はとても深く、様々な要因が絡み合っています。主には皮脂抑制、毛穴の詰まりの解消、細菌の抑制が、ニキビの治療法の軸と言えます。
根本的な原因を解消しないと繰り返しできてしまう可能性もあるほど、非常に奥が深い皮膚疾患であり、奥が深い治療法が必要な疾患です。しかし、正しい治療法を選びさえすれば、治すことも十分に可能です。
また、ニキビができにくい肌になるためにはニキビ治療だけではなく、日常生活の中で肌環境を意識していくということが大切です。ぜひ、最適なニキビ治療を選択して、内側から外側からニキビ知らずの美しい肌を目指していきましょう。