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【わきが・多汗症】ミラドライの設定

わきが・多汗症
2015.03.23.月曜日
わきが・多汗症 | 2015.03.23.月曜日

急に春らしい気候になり、ワキ汗やワキの臭が気になる季節が到来しました。ワキガや多汗症の治療として、昔は剪除法を含め吸引法・超音波法などの手術が主流でしたが、ボトックスが開発されて切らずに多汗症が治療できるようになりました。しかし、ボトックスは4ヶ月から6ヶ月ごとに注射する必要があり、症状を抑えるだけの対症療法なので、根本的な治療ではありませんでした。そこで登場したのがミラドライという機械です。

ミラドライは皮膚を吸引し表面を冷却しつつ表皮が火傷を起こさないように、汗やニオイの元となる、エクリン腺やアポクリン腺を高周波で破壊することができます。処置後に腫れや異和感がありますが、剪除法手術のように日常生活の制限や大袈裟な包帯は必要なく、なによりもキズがほぼ残りません。ワキガや多汗症の治療をしたいが仕事が休めない人や、キズを残したくない人に最適です。

そのような意味でミラドライは画期的で、安全に安定した結果が出せる良い機械です。照射範囲と出力設定をすれば、後はモニターを見ながら機械の指示に従ってプローベを移動させるだけです。接触部分が傾かないようにプローベをできるだけ垂直に保つことと、吸引のエアがもれないように押さえつける力を加減するくらいで技術的には難しい処置ではありません。しかし、神経損傷などの徴候を見逃さないように注意を払い、危険と感じたら照射を緊急停止する必要がありますので、医師が治療を行います。

どのような機械でも設定を強くすれば、その効果が良いのは自明ですが、その分副作用のリスクも高くなります。ミラドライで困る副作用は上腕神経損傷と皮膚壊死があります。ミラドライをあてる直下に運動と感覚をつかさどる重要な神経である太い上腕神経が走行しております。比較的脂肪の多い人は副作用が出にくいのですが、やせている人の場合は損傷されることがまれにあります。その副作用を避けるためにミラドライは、神経が浅い部分を走行する箇所の照射は、自動的に出力を低くする機能が備えられてが、効果を出すためにその設定を解除することがあり、その場合は神経損傷のリスクが高くなります。

皮膚壊死も強く広くミラドライを照射すれば、確率が高くなります。もちろんデフォルト(既定)設定でミラドライは皮膚壊死が起こらないように、安全マージンをもって推奨出力が決められていますが、これも出力を高くすると皮膚壊死のリスクが高くなります。皮膚壊死は単に広範囲に皮下組織が強く破壊されるだけではめったに起こりませんが、その部分に炎症が生じ感染し化膿すると皮膚壊死が起こりやすくなり、完全に照射部分の皮膚がなくなってしまうことがあります。ワキの皮膚は上皮化能力が高く、また常にワキは閉じられた状態で皮膚緊張がないので、仮に照射部分の皮膚が完全に欠損したとしても、ほとんど閉じてきます。しかし、浸出液が持続し、治療期間も何ヶ月以とかかり、閉じきれない場合は植皮手術をしなければいけないので、患者さんの負担を考えると、そのような状況は避けなければいけません。

手術に比べると特別な技術を必要とされないミラドライの治療ですが、医学的基礎知識に基づきできるだけ副作用を避ける努力と、万が一に副作用が生じた場合に適切な対処方法を早急に行うなど、他の機械による治療方法と同様に、医師のスキルが求められる治療だと思います。

これからの季節はミラドライを希望される方が増加します。当院の場合現時点で診察が約1週間先となり、実際にミラドライが可能となるのは3週間以上先となりますので、ご希望の方は余裕をもってお申し込みください。

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