以前のブログで映画”さや侍”の父から娘への手紙を紹介させて頂きました。まだ映画を観ておられない人のために、結末が分かってしまう部分をカットして掲載しました。しかし、すでに着うたとして、ダウンロードできますので、ここに全文を紹介させて頂きます。
映画前半のややばかばかしいお笑いとその展開から、結末はそのままほのぼのとした喜劇映画として終わるものと、私は想像していました。しかし、暖かい感じの伏線があっただけに、逆に衝撃的な終わり方が見ている側を驚かせてしまいます。
父と娘のこと、そして男として侍としてのことの答えが、ぼやっとした”さや侍”の野見さんが見せる最後の演技に集約されます。ど素人から、あれだけの雰囲気を引き出せることができる松本人志監督は優秀な人だと思います。
父から娘へ~さや侍の手紙~全文
『父は死にました。でも心配しないで下さい。父は死にました。でも生きていたときよりも元気です。血を見ました か。うつくしかったですか。みにくかったですか。首はころがりおちましたか。上をむいていましたか。下をむいていましたか。
投げ捨てたふりを していた何かに、少しずつ追い詰められていくような思いの中、あなたは一生懸命父の背中を押してくれました。もう一度その何かに立ち向かわせ ようと一生懸命父の背中を押してくれました。父は侍でしたか。誇りますか。恥じますか。恨みますか。父は侍でしたか。
父は死にましたでも心配 しないで下さい。父は今母と一緒にいます。あなたにとって幸なのか不幸なのかわかりませんが親と子の絆は永遠です。もしかしたらこうしてはじ めて親と子の絆は、永遠となるのかもしれません。
もし会いたくなったら愛する人と出会い、愛する人を愛してください。めぐりめぐりめぐりめ ぐって、あなたが父の子に生まれたように、めぐりめぐりめぐりめぐって、いつか父があなたの子に生まれるでしょう。めぐりめぐりめぐりめぐっ て、ただそれだけですがそれがすべてです。めぐりめぐりめぐりめぐって、ただそれだけですがそれがすべてです。』
設定に無理なことが多く矛盾もあり、気になる部分もありますが、それを差し引いても、この作品は私たちに大切なものを思い起こさせてくれるすばらしい作品だと思います。
映画 | 2011.06.19.日曜日