福井の彼女と別れた
１ヶ月後の５月には
医師国家試験に
合格しました。
あこがれの
医師になれた喜びで
満ちあふれる
はずなのですが
春の陽気とは
うらはらに、
花が散った後の
桜の木ばかり
目につきました。
しかし、
そんな、憂えた
私の気持ちは
仕事が始まると
吹き飛ばされて
しまいました。
６月から
私は近畿大学
形成外科で
研修医としての
生活が始まりました。
朝の８時から
カンファレンスで
手術日も８時に
手術室にスタンバイし
夕方からは、
カウンセリングや
医局会、症例検討会
などがあります。
検査や注射や点滴
手術の指示伝票を
書くのは研修医の
役割でした。
もちろん、
朝晩の点滴や注射を
行うのもほとんど
研修医の仕事です。
その年に、
形成外科に
入局したのが
私ひとりだったので
私に一手に仕事が
任されました。
ほぼ、２４時間
フル回転して
若さでだけで
乗り切っていました。
彼女と連絡を
とることは
ほとんど
できない状態に
なりました。
忙しさの中で
文字通り
心を亡くすように
仕事に追われました。
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