暖かい季節になってくると毛穴のことが気になる方が増えてきます。寒い季節は皮膚が引き締まっているため、暖かい季節と比べると気にする人は少ない傾向にありますが春になると気温が上がり汗をかく機会が少しずつ増えてきます。つまり毛穴が広がる機会も増えるということになります。
よく患者様から「毛穴を消すことはできませんか?」と聞かれることがあります。
結論から言うと毛穴は正常組織であり病気ではありません。
ですから、消すことはできません。
こういうと身も蓋もないと思われるかもしれませんが、諦めないでください。
自宅ケア含め、適切な治療、トリートメントを実施することで毛穴を目立たなくすることは可能です。
毛穴のケア、治療についてご紹介させていただきたいと思います。
毛穴は大きく4つの種類に分類される
毛穴にはいろいろな種類があります。
その種類によって治療効果や治療過程が異なります。
毛穴の種類には大きく4種類あります。
①角栓型毛穴
②色素沈着型毛穴
③瘢痕(はんこん)型毛穴
④たるみ型毛穴
上記4つは別に「⑤有毛型毛穴」というものもあります。
①は最も治療される方が多い毛穴タイプで、名の通り毛穴に角栓が詰る症状を言います。
②は日焼けやオイルクレンジングなどでクスミが強く出てしまう症状を言います。
紫外線などが影響するシミのようなものです。
③は皮膚が硬くなってしまった毛穴のことを言います。
無理に自身で角栓を押し出すことを繰り返したり、毛穴パックなどを頻繁に繰り返すことで毛穴自体がダメージを受けてしまい硬くなることで起こります。
④は肌がたるむことで毛穴が涙型に伸び、広がってしまう症状を言います。
⑤は実際に毛が生えていることによって目立つ毛穴のことで、正常な毛穴でもあります。
毛穴の種類毎のケア・治療方法について
毛穴は中々1つの治療で良くなることはありません。
ですから、当院では複数の処置を組み合わせた治療法をもって治療に取り組んでいます。
①角栓型毛穴
皮脂が多く、角栓が詰まった毛穴です。吸引で角栓を取り、見た目が良くなるので、比較的改善が実感されやすい毛穴です。
当院で処置する際、「毛穴レーザー」を用いた治療を実施します。
具体的には、医療用スチーマーと角栓柔軟薬を用いて詰まった角栓を柔らかくする処理を行います。
その後、部位毎に3種類医療用角栓吸引機を用いて皮膚表面に浮いた角栓を除去していきます。
次に吸引で除去しきれなかった角栓を取り除くため、独自調合したケミカルピーリングを皮膚に塗布し、角栓を化学的に融解し剥離除去します。
それでも除去出来なかった角栓は医療用の専用セッシ(ピンセット)で1個1個角栓を手で取っていきます。
(よく指にガーゼを巻いて押したり擦ったりする治療を行うクリニックもあるようですが、周辺表皮を傷つけるため、当院では絶対に行いません。)
完全に表皮の汚れ(皮脂や角栓)を取り除いた状態でNd:YAGレーザー(ジェネシス)を照射します。
肌自体を内側から引き締める作用を引き出すために用います。照射方法も独自の方法(MIX照射技法)を用いており、接触照射法と中空照射法を用い、真皮の上層、中層、皮膚表面など深さ別に照射することでお肌全体を刺激し、コラーゲン繊維再生・増殖を促します。
レーザー照射が完了後、ビタミン導入とイオン導入のパックを実施します。ビタミンA,C,E、そしてβカロチンなどを導入し保湿力・保水力を高めます。
ここまで治療すると皮膚がふっくらして毛穴が目立ちにくくなります。
1回の治療自体はこれで終わりになりますが、生きている限り皮脂や角栓は発生し続けます。
ですから、定期的な治療と普段から皮脂を減らすホームケアを継続的にしていかないと、角栓は減ってきません。
そのため、皮脂を減らし、しっかりとした保湿をホームケアとして最小限実施することが大切になります。
当院では、皮脂を抑制するホームケア用のオリジナル軟膏(トレチノイン酸軟膏)を処置後数日後から使用してもらうように処方しています。
トレチノイン酸軟膏は余分な皮脂を抑える効果の他、皮膚のターンオーバーを促進する作用もあり、お肌のメンテナンスとして優れた塗り薬です。
このトレチノイン酸軟膏を上手く活用しながら角栓を作らないようにし、上記でご紹介した治療を繰り返し行うことできれいなお肌に入れ替わっていき、その結果が毛穴が目立ちにくい引き締まったお肌になるということになります。
ですから、単に治療するだけではなく、ホームケアが欠かないということになります。
②色素沈着型毛穴
日焼けのあと、毛穴周囲の色が薄くなったのに、毛穴のシミだけが残った方や、オイルクレンジング多用で毛穴のクスミが強くなった方に多い毛穴です。色素沈着を改善させるためにハイドロキノンを含む軟膏を併用する事で、目立たなくしていく治療を行います。ただ、原則として毛穴の角栓など定期的な表皮のメンテナンスは欠かせませんので、「角栓型毛穴」でご紹介した「毛穴レーザー治療」を実施します。数回のメンテナンスを繰り返していくことで改善を図ります。
③瘢痕型毛穴
今まで自分で角栓を押し出して皮膚が硬くなってしまった方の毛穴です。
いちご鼻という呼ばれ方をすることもあり、毛穴自体が逆円錐型に深く、そして硬くなった状態です。
また、ニキビ痕が毛穴のように見える部分も瘢痕型毛穴です。このタイプの毛穴を完全に治療するのには時間を要します。また、治療自体が大変難しく、繰り返しピーリングを行い、徹底したホームケアを根気よく実施して改善していく必要があります。当院では行っておりませんが、削るタイプの治療はこの毛穴に有効なことがあります。
④たるみ型毛穴
年齢に伴い皮膚弾力性が無くなると、特に頬では、毛穴が涙型に伸びて目立ってくる毛穴です。肌の張りを取り戻すアンチエイジング治療を行うことで、進行を防ぎます。瘢痕型毛穴ほどではありませんが、たるみ型毛穴も治療が難しい毛穴です。肌を引き締める必要があるので、当院ではロングパルスYagレーザーを毛穴治療に併用しています。
たるみ型毛穴については「たるみ毛穴は何故できる?予防と治療の仕方について」でも詳しく解説しておりますので合わせてご覧ください。
⑤有毛型毛穴
実際に毛が生えていることによって目立つ毛穴です。毛穴レーザーコースのレーザーにも脱毛効果もありますが、設定が違いますので、毛自体が目立つ場合は、別に単独で脱毛処置だけを追加することで目立たなくしていきます。
治療回数や治療期間について
毛穴の治療頻度や期間は患者様の感覚と治療する側のゴールの状態が異なることが多く一概に断言はできません。
例えば、ニキビの治療の場合、ニキビは皮膚の異常、つまり病気になりますので治れば、治療する側も治療を受ける側も「治った」の感覚は同じになります。
しかし、毛穴の場合は治療する側から見ていい感じになったと思っても、患者様側はもう少しと思われる方もおられるなどのギャップが生じます。
ですから、本当の意味で必要とする治療回数やその期間はかなり幅があります。
目安としては1ヶ月に1回、合計6回の治療とご説明することもありますが、個人差もあるため、治療回数とその期間は相談しながら決めていくことが大切です。
ただ、一つの目安としては「実感があるうちは継続する」という考え方です。
処置を繰り返していくことで(ホームケアもしっかり実施している前提であれば)肌の状態は基本的にはよくなっていきます。
しかし、繰り返し治療を行っていくと「効果をあまり実感できない」タイミングが来れば、それが1つ中止、延期の目安になるかと思います。
繰り返しになりますが、毛穴の治療は1回で完治させることは難しい治療です。
肌の状態自体を変化させていく必要があるからです。それにはホームケアも欠かせません。
しかし、しっかりケアしていけば確実に毛穴を目立ちにくくしていくことは可能です。
もし、毛穴のことでお悩みの方がいらっしゃいましたら諦めずご相談ください。美容整形における聞きたいけど聞けない、患者様から頂く質問に対して動画でお応えしております。
ご興味がありましたら、Youtube動画もご覧ください。