ホクロや老人性イボ(脂漏性角化症)だと判断されて切除した組織に、まれに日光角化症が見つかることがあります。名前だけ聞くと、この日光角化症はただの角質病変かと思われがちですが、日光角化症は前癌状態と考えられています。
日光角化症は別名、光線角化症です。また、老人性角化腫や老人角化症と呼ばれることもあります。有棘細胞がんや扁平上皮がんという皮膚がんの早期の状態と考えられていますが、がんへの進展は数%程度と言われ、他のガンのように拡大切除をすることは今では少ないです。
日光角化症は、紫外線をよく浴びたことにより発症しやすい病変です。とくに60歳以上の人に多く認められる傾向があります。紫外線をあびやすい顔や頭部の発症が多く、手の甲にも発生します。大きさは1~2センチほどで、かさぶたをともなうやや厚めの角質や、まだら状のシミよような外観が多いです。しかし、見た目は色の薄いほくろに見える場合や、老人性イボ(脂漏性角化症)とそっくりなこともあり、鑑別の難しい局面もあります。
日光角化症自体は生命予後に影響はありません。つまり、悪性黒色腫や他のガンのように転移をしたり、周囲への浸潤はほとんどありませんが、仮に手術やレーザーで除去した後、日光角化症と病理診断された場合は、再発の有無などを定期的に経過観察する必要があります。
名前だけ聞くと、たいしたことはないように思えますが、適切な診断とフォローが必要です。