シワの治療に関して、ボトックス注射とヒアルロン酸注射をよく使うのですが、混同されている方も多いので、改めて説明させて頂きます。
ボトックス注射は、筋肉を動かなくする注射です。うった部分の筋肉が４ヶ月から６ヶ月にわたり動きが弱くなります。動きによって出てくるシワの部分に、ボトックスをうつことによって、シワを消します。目尻、おでこ、眉間のしわに有用です。
もともとボトックスとはボツリヌス菌がつくる毒素です。もちろん、治療で使う程度の量で命に関わることはありませんのでご安心下さい。
たとえば、目尻の場合片方に４－５カ所ほどボトックス注射をすることで、２－３日後から筋肉が動かなくなり、効果は１週間で最大化して、約４ヶ月から６ヶ月間動かない状態が持続して、シワがよらなくなります。
ヒアルロン酸は、ムコ多糖類の一種で、もともと皮膚自体にも含まれる成分です。細胞の外で基質（マトリックス）と呼ばれて細胞を支える働きがあります。
シワの治療に用いるヒアルロン酸注射はジェリー状の液体です。シワのくぼんでいる部分に直接うつことで、物理的に皮膚を持ち上げて、シワを解消します。ほうれい線、マリオネットライン（口の横）、ゴルゴライン（頬中央の斜めシワ）などに用います。
ヒアルロン酸は約１０ヶ月間ほど皮膚内や皮下にとどまってくれます。いずれ消えてしまいますが、その方が安全です。長期間残存する物の場合、アレルギーの可能性も高くなります。
ボトックスもヒアルロン酸も、きわめてアレルギーが少なく、１万人にひとりくらいと言われほど、安全な物です。
ボトックス自体も純正のアラガン社製のものでも日々進化していて、精製技術が向上し、ボトックス安定化のためのたんぱく成分も少なくなりさらに、アレルギーの確率が減っていると聞きます。
ヒアルロン酸も純粋なヒアルロン酸であれば、ほとんどトラブルがありませんが、ボトックスに比べると、少し内出血（皮下出血）を起こしやすい傾向があります。
動くことによってできるシワにはボトックス、動かなくても凹んでいるシワにはヒアルロン酸と使い分けられます。処置は数分で終わりますので、ご希望の場合は診察のその日にすぐに処置が可能ですが、人前に出るような行事がある場合は、内出血の可能性も考えて、少なくとも２週間以上あけて処置されることをおすすめいたします。
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