映画”さや侍”で、主人公の野見勘十郎が娘にあてた手紙が感動的でしたので、ここで紹介させていただきます。自分の不甲斐なさを幼い娘に叱責されながらも、30日間の業の中での思いを綴った父の娘への手紙です。
投げ捨てたふりをしていた何かに、少しずつ追い詰められていくような思いの中、あなたは一生懸命父の背中を押してくれました。もう一度その何かに立ち向かわせようと一生懸命父の背中を押してくれました。父は侍でしたか?誇りますか?恥じますか?恨みますか?父は侍でしたか?(中略)あなたにとって幸なのかか不幸なのかかわかりませんが親と子の絆は永遠です。もしかしたらこうしてはじめて親と子の絆は、永遠となるのかもしれません。もし会いたくなったら愛する人と出会い、愛する人を愛してください。(中略)めぐりめぐりめぐりめぐって、ただそれだけですがそれがすべてです。
刀を捨てて侍として戦うことをやめ、逃げてばかりしていた父が、自分を一生懸命後押ししてくれた娘への、まっすぐな気持ちを表した手紙です。彼は娘のおかげで、侍としての誇りを捨てることはなかったのです。