医学部最終学年の
後半は卒業試験と
国家試験対策で
大変忙しくなります。
その頃は、すでに
彼女のお父さんとの
交渉は、
知り合いのTさんに
おまかせしていました。
私は、試験勉強に
集中するために、
大学から離れた
福井市内の下宿を
引き払って、
大学に歩いて通える
下宿に戻りました。
維持費がかかる車も
手放して、アルバイトも
辞めました。
大学周辺は、きわめて
交通の不便なところ
でしたので、
車を手放すと、
彼女と会うことも
少なくなっていました。
そこで、
私が大阪に帰省する
大学６年生のお正月に
私の実家に遊びに来る
ように彼女を誘いました。
彼女は喜んで、
大阪まで遊びに来ること
を承諾してくれました。
1月2日昼過ぎ、
私は、大阪駅の
プラットホームで、
彼女をのせた
北陸線特急雷鳥
が到着するのを、
待っていました。
しかし、
彼女からあらかじめ
連絡があった時間の
列車には彼女は
乗っていませんでした。
その後も、2本3本と
雷鳥は到着しましたが
彼女は乗っていませんでした。
当時は携帯電話など
ありませんでしたので、
念のため、私の実家に
彼女から連絡がなかったか
公衆電話から確認
しましたが、何も連絡は
入っていませんでした。
その頃は、まだ
彼女のお父さんとは
膠着状態でしたので、
直接、彼女のお家に連絡
するのははばかられました。
寒風吹きすさぶ大阪駅
のプラットホームで、
私はひとり立ち
すくんでいました。
（つづく）

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