つかはらクリニック院長のブログ

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ステロイドの長期使用によるリスクとは?

2022.02.22.火曜日
| 2022.02.22.火曜日

 

ステロイドという薬の名前を聞いて「怖い薬」「強い薬」「危ない薬」といった印象を持つ方は少なくないはずです。

でも、ステロイドは単純に「怖い薬」なのではなく、使い方次第では副作用が出ることはありますが、適正に用いることで非常に有効な薬でもあります。

今回は、皆さんもよく耳にするステロイドの使用について、知っておくべき正しい知識をご紹介していきます。ぜひこの機会に、ステロイドとはどんな薬で、どのような副作用が出るのか、安全に適正に使うためのポイントについて、理解を深めていってください。

まずは知っておきたいステロイドの効果

いわゆる「ステロイド」とは「副腎皮質ホルモン」の一つであり、もともと体の中にも存在している物質です。そして、このステロイドを薬に応用したものが、一般的に「ステロイド」「ステロイド外用薬」などと呼ばれています。

ステロイドは次のような皮膚に対する作用があります。

● 皮膚の刺激をおさえる
● 皮膚のターンオーバーをおさえる
● 炎症細胞が過剰に働くのをおさえる

これらの作用があるため肌荒れ、皮膚炎、湿疹などに広く使われています。ステロイドを皮膚に塗ることで、過剰な皮膚の炎症反応を抑えることができます。

肌荒れだけでなく、過剰反応の中には痒みも含まれます。痒みとは、皮膚の循環が良くなりすぎることで、いろいろなケミカルメディエーター(細胞間の情報伝達物質)が反応することによって生じる症状です。ステロイドは、このような過剰な反応を抑える効果に優れています。

ステロイドは市販薬でも医療用でも使われている

市販の医薬品でも、ステロイド配合の軟膏などが売られていて、気軽に誰でも購入して使うことができます。また、医療用医薬品としても医療機関において非常によく使われています。

当院では、皮膚の痒みが強い、湿疹の症状が強い、症状が強めの皮膚炎などの場合に、ステロイドを処方しています。皮膚の過剰な反応を抑えるのに、有効かつ便利な医薬品だという認識です。

ステロイドに不安をもっている患者様は多い?副作用は??

皮膚の症状には、非常に有用であるステロイドですが、良く効くというだけで不安になられる方もいらっしゃいます。

ステロイドは、正しい使い方で用いれば、皮膚の不快な症状や過剰な反応を抑えてくれる優秀なお薬です。

ただし、「よく効く」「すぐに効く」ことに頼りすぎてしまうのは確かに危険です。長期間にわたり漫然と使ったり、症状よりも強いランクのステロイドを使ってしまうと、副作用が起きる可能性はあります。

ステロイドにも弱いものから強いものまで、大きく分けて5段階のランクがあります。強いものが良いというわけではなく、適切なランクを症状と部位に合わせて使い分けることが大事です。

ステロイドに依存してしまうのは問題

ステロイドを使用する際に、よく次のような2つの問題が起こります。

● どんどん強い薬を使ってしまう
● いつまでも心配で強い薬を使ってしまう

効果が弱い薬で効果が得られないと、ついつい効果の強い薬を段階的に使ってしまう方は多いです。
また、強めの薬で効果が出ていると、その薬を止めるべきタイミングを間違えてしまうことも問題です。多くの患者様が強い薬から弱い薬に戻すとき、「また症状がでるんじゃないか」と心配で、漫然と強い薬を使い続けてしまう傾向にあります。

適切な強さのステロイドを適切な期間に使用する限り、ステロイドで副作用は殆ど出ることはありません。
しかし、症状や部位に対して強すぎるタイプを使ったり、必要が無いのに長期間にわたり漫然と使い続けると、副作用が出る可能性があります。その線引きを明確に、正しく使うことがステロイド治療の基本となります。

ステロイドの副作用の具体例

では、ステロイドの副作用には、どんな症状があるのでしょうか?使う上であらかじめ症状を知っておくと、万が一のときにも対処しやすくなります。

そこで次にステロイドによる副作用の中で、代表的な症状をご紹介します。

①皮膚が薄くなり脆弱になる

まず1つ目が、皮膚の脆弱性、つまり皮膚が弱くなる、薄くなる症状です。

ステロイドには皮膚のターンオーバーをおさえる効果があります。ステロイドを塗ると、皮膚再生が抑えられ、表皮細胞が少し薄くなることがあります。細胞の働きも抑えられて、表皮細胞だけでなく皮膚自体が薄くなっていく傾向があります。

また、ステロイドを長期に使っていると、そこの皮膚の皮溝(皮膚のみぞ)が消えてしまうこともあります。本来は健康的なシワ模様になっていますが、ステロイドの長期使用により、溝がなくなり、のっぺりとした皮膚に変わってしまうことがあります。

これも皮膚が薄くなってきている1つの兆候です。見た感じ、触った感じでもステロイドを塗ったところだけ、他の皮膚と違う状態になっているのが分かると思います。

皮膚が薄くなると、物が当たっただけで簡単に傷ができてしまうほど弱くなることもあり、これを皮膚の脆弱性といいます。

このように長期間にわたり同じ部分にステロイドを使用すると、塗った部分の皮膚が弱くなる、怪我をしやすい薄い皮膚になる、表皮がめくれやすくなるなどの症状が出てくることがあります。

②シミになりやすい

2つ目に、ステロイドを塗った部分が、シミになりやすい傾向があります。

皮膚は常にターンオーバーをしています。例えば、紫外線の影響でシミの原因となる色素が発生しても、ターンオーバーによって色素を外に追い出す働きをもっています。

しかし、ステロイドの使用で皮膚のターンオーバーの機能が落ちると、色素を追い出すための機能が弱く・遅くなります。その結果、色素が溜まりやすく、色素沈着によりシミができてしまうのです。

万が一、ステロイドでシミになってしまうと、皮膚のターンオーバー機能を回復させる治療とシミ取り治療も必要となってきてしまいます。シミはすぐに取れない可能性もあり、場合よって半年から1年くらいかかることもあります。それだけ、一度シミになってしまうと大変ということです。

もし、ステロイドを使用して、色素沈着やシミができた場合には注意が必要です。すぐに治療を中止することは難しいかもしれませんが、医師と相談した上で使う期間を調整する必要があります。

ステロイドの正しい使い方

副作用についての理解は深まったかと思いますが、大事なことは安全に使ってステロイドによる効果を最大限に発揮させることです。そこで最後にステロイドの正しい使い方をご紹介します。

皮膚の症状が治まってすぐにステロイドを止める必要はありませんが、次のようなポイントを押さえて使うことが大事です。

● 症状に合わせて弱めのステロイドに変える
● 使用する頻度を減らす(毎日➡︎2日に1回など)
● 使用する量を減らす

以上のように、強い薬を安易に使うのではなく、症状に合わせて適度な強さのステロイドを選ぶことが大事です。また、症状が改善してきたら、徐々に減らす、弱くすることもポイントです。

ただし、急にステロイドを止めると、症状がぶり返して、治療が振り出しに戻ってしまう可能性が高くなります。ステロイドの量や使用頻度を少しずつ減らしたり、効果の弱いものに変えていったりすることで、ステロイドに依存し過ぎないことが大切になります。効果の弱いステロイドでは、医師の管理下であれば長期使用でも安全に使えることもありますが、それも医師の管理の下で使うことが前提です。

ただし、ステロイドの強い・弱いの判断はあくまで一般論ではなく、その症状や状態を鑑みて判断する必要があります。専門の医師でないと判断は難しいので、くれぐれも、自己判断は禁物です。あくまで医師と相談の上、調整していくようにしてください。

ステロイドは適切使用が大切

今回は、ステロイドの危険性についてご紹介してきました。いかがでしたか?今回は「危険」という言葉を使ってしまいましたが、ステロイドは適切に使えば本当に良い薬ですので誤解されないようにお願いします。

ただ、専門の医師の管理の下ではなく、自己判断で効果の強い薬を漫然と長期間使用してしまうと、副作用が出てしまう可能性はあります。

ステロイドは使用方法を間違えて使うと副作用が出るリスクがあることを理解しておきましょう。自己判断で治療を行うのではなく、専門の医師と相談した上で使用することが望ましいと考えます。ぜひステロイドの治療に不安なことがあれば、当院までご相談ください。

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