眼瞼下垂の手術を受けたいと思っているけど、副作用や後遺症などのリスクが心配でまだ踏み切れないでいる…という方はいませんか?どんな手術にもリスクは付き物ですが、眼瞼下垂の手術は果たして安全なのでしょうか?
今回は眼瞼下垂手術の失敗をテーマに手術後のリスクと副作用についてご紹介していきます。
これから眼瞼下垂手術を受ける予定のある方、手術を受けることが心配な方などに参考にしていただけたらと思います。
眼瞼下垂手術のリスク
眼瞼下垂手術は、外科手術の中ではどちらかというと難しい手術に分類されます。
そのため、もちろん副作用もありますし、手術によるリスクが考えられるため、手術前に事前に認識しておくことが必要かと思います。
まず最初に眼瞼下垂手術のリスクと副作用についてご紹介します。
リスクその1:『まぶたの上がりすぎ』による症状(ドライアイなど)
1つ目のリスクは「まぶたが上がりすぎる」ということです。
もともと眼瞼下垂手術は、落ちてきたまぶたを上げる手術であるため、『上がりすぎる』ということが起きる可能性があります。
手術では筋肉を短くすることにより、まぶたを上がりやすくします。しかし、手術により上がりすぎてしまうと、まぶたが閉じにくくなる可能性があるのです。
その結果として、目が乾燥しやすくなり「ドライアイ」を引き起こす可能性もあります。
また、眼瞼下垂手術を受けた方は、目が少し開いた状態で寝るようになり、朝起きると目やにが手術前より多くなる場合があります。これも眼瞼下垂手術による副作用の1つだと考えられます。
その他にも、外出時に風の影響を受けやすくなることもあります。手術前はまぶたが落ちているため角膜が隠れており、風の影響を感じにくかったところが、手術でまぶたを上げたことで風の影響を感じやすくなってしまうわけです。その結果として、ドライアイの副作用が生じることもあります。
これらのリスクは「まぶたの上げすぎ」が原因であるため、手術で上げすぎないことが大事になってきます。万が一まぶたを上げ足りなかった場合には、再度上げるための手術を行うこともできます。最初から何回も手術を望む患者様は少ないとは思いますが、最初は上げすぎないことが大切なことだと思います。
ただ、万が一まぶたを上げすぎてしまって低い位置に戻す場合には、少し難しい手術になります。手術を受ける前にまぶたをどの位置まで上げるのか、医師とよく相談しておくことをおすすめします。
リスクその2:三角目・三角眼になることも?!
通常は、眼瞼下垂手術をすると均等にまぶたが上がるのですが、ごく稀に一部分だけ瞼が上がる場合があります。この状態のことを「三角目」「三角眼」といいます。
これは副作用ではないのですが、手術の際にまぶたを上げる筋肉を短くする時に瞼板の近くに糸をかける強さのバランスが少し崩れることが原因で起こります。
どの医師も三角目・三角眼にならないように筋肉を結ぶ位置や糸の数など入念に考えた上で手術を行うのでリスクは少なめですが、稀に三角目・三角眼は起こることがあることは認識はしておきましょう。
三角目・三角眼のようなリスクを抑えるためにも、眼瞼下垂手術を専門にしている医療機関を探すことが大切です。
リスクその3:失明、視力の低下の可能性
患者様の中でも眼瞼下垂手術による失明や視力の低下を心配される方は多くいらっしゃいます。もちろん、目の近くの手術を行うわけですので、そのリスクはゼロとは言えませんが、失明につながることはほぼゼロに近いです。
特に手術後すぐに失明するケースはほぼゼロに近いでしょう。
ただ、注意が必要なのは視力の低下です。
まぶたを強く上げ過ぎてしまい、目が閉じにくい状態が続くと角膜が傷ついたり、乾燥が酷くなったりすることがあります。その結果、慢性的な炎症が起こると、視力の低下が起きる可能性はあり得ます。
なお、当院にて視力の低下や失明が引き起こされた事例は一例も経験しておりません。
リスクその4:まぶたの形や見た目の変化
眼瞼下垂手術をするとほとんどの方が術後は二重(ふたえ)になります。多くの手術を行ってきた経験上、患者様としても一般的には悪い意味には受け取っていない方が多い印象ですが、まぶたの形の変化はほぼ確実に起こります。
まぶたの形の希望は人それぞれですので、くっきりとした二重になりたくない人やまぶたの形が変わることを望んでいない人にとっては1つのリスクとも言えるでしょう。
まぶたの変化の種類としては、以下のようなケースが考えられます。
● 一重から二重
● 二重から三重
● 幅の狭い二重
手術後にまぶたの形が変わってしまうことは、理解しておいていただければと思います。
リスクその5:術後の炎症によるまぶたの腫れ
眼瞼下垂手術後は大きく患部が腫れます。腫れを抑えるために、麻酔を工夫し、手術中も冷やしながら行います。また、筋肉を切る範囲を狭く短くすることで、なるべく腫れないような工夫もしています。それでも、手術の次の日には特に腫れてしまうことが殆どです。
また、皮膚を切除したり、皮膚の深い部分の手術をした場合などには、上まぶたが厚ぼったくなることもあります。
もともと日本人を含めた東洋人は皮膚と筋肉が厚ぼったい人種です。上まぶたが厚ぼったいのは、脂肪の厚みではなく皮膚の厚みと眼輪筋という筋肉に厚みがあるためです。
しかし、手術後にはもともと厚ぼったいまぶたが腫れるため、さらに厚ぼったく見えてしまう確率がとても高いのです。
術後の腫れが治まるまでには、個人差もありますが長い患者様で3か月から6か月くらいかかることもあります。手術後の副作用として誰にでも起きる可能性がある症状ですので、事前に納得した上で手術を受けられるようにしてください。
リスクその6:眼瞼下垂手術の傷跡が残る可能性
また、眼瞼下垂の手術の傷跡が残るという可能性もあります。
眼瞼下垂の手術後には最後に傷口を縫っていきます。傷を縫う際に医師は、以下のような点に気をつけていろいろな技術を駆使して細かく精密な手技により縫い合わせます。
● 傷が残らないように
● 傷跡が赤くならないように
● 傷跡が膨らまないように
ただし、十分に配慮して縫合したとしても、患者様の体質によっては傷が目立ちやすい方がいらっしゃいます。目立ちやすいのは以下のように傷の特徴がある場合です。
● 少し傷が赤い
● 二重のラインにそって薄く線が残る
● お年寄りの場合には二重のラインの延長である目尻に傷跡が残る
万が一、傷が残っても目立たないよう、二重のラインと重なるように考えながら丁寧に縫っていきます。
なお、当院での眼瞼下垂手術は上まぶたの二重のラインに沿って切ることで、傷跡が目立たなくなるように工夫しています。
リスクその7:眼瞼下垂の再発もありうる
眼瞼下垂手術をした方の中には、手術後に再びまぶたが少しずつ落ちてきて、眼瞼下垂が再発することがあります。これは手術により上げた眼瞼挙筋が緩んでしまうことが主な原因です。
特に以下のような方は注意が必要です。
● まぶたや目の周辺をこする癖のある方
● ハードコンタクトレンズを使い続ける方
これらは眼瞼下垂を引き起こす要因でもあるので、眼瞼下垂の再発にも繋がります。
手術後に、すぐに再発することは少ないですが、数年経ってもう1回手術するというケースはあります。
多数の手術を行ってきた経験上、とくに若い患者様に多く起きる現象だと感じています。
若い患者様は手術後のまぶたの状態の変化に敏感なことが多く、少し下がってきただけで大きな変化に捉えられることも理由かもしれません。
まぶたが落ちてきたと感じる場合には、再度来院していただき、状態を確認して、医学的に再手術が必要か判断いたします。
なお、基本的には少し下がってきた程度での再手術はおすすめしていません。
再手術が必要になる期間は特に一定の決まりがなく、患者様ごとに個人差があります。
当院ではあくまで医学的にみて再手術が必要かどうかを判断していきますが、1回の手術だけで再手術をしない患者様が殆どを占めております。
当院の眼瞼下垂手術はすべて保険適用
今回は、眼瞼下垂手術のリスクと副作用についてご紹介してきました。
手術する医師側からの意見としては、過剰な手術(必要以上に深い傷をつける手術)は手術後のリスクを上げてしまうと考えています。
通常の範囲で眼瞼下垂手術を受ける限り、失敗や再手術などのリスクは少ないと思います。
医師としては初めから過剰にならないことを目指して安全に手術を行うことが基本です。
まぶたの上がりが足りず十分な効果が得られないのであれば、再手術することで対処できます。
また、十分に事前に相談しておくことで、予期せぬリスクを回避することも十分可能です。
当院では、形成外科として眼瞼下垂を専門にしており、豊富な治療経験がございます。
また、眼瞼下垂手術はすべて保険適用とさせていただいています。
ぜひ、眼瞼下垂についてお悩みの症状や思い当たることがあれば、経験豊富な当院にご相談いただければと思います。