年末に訪れた俵屋旅館についた際に、お部屋担当のカズさんが、お部屋は年末の”しつらえ”ができたところですと説明してくれました。”しつらえ”とは、設えと書きますが、俵屋では、”室禮”と当て字をして、お部屋も礼を持って客人を迎えてくれます。
床の間には、新春を迎えるにふさわしく、富岡鉄斎の掛け軸旭日紅梅図が掛けられていました。富岡鉄斎は明治・大正期の文人であり画家、儒学者で、日本最後の文人と謳われた人です。
一刀彫の宝珠と蒔絵盆も置かれていました。
邪気払いとして訶梨勒(かりろく)がつるされていました。詞梨勒とは、詞子(カシ)、竜脳、沈香、などのハーブやスパイスをの袋に入れたもので、無病息災を願い、室町時代から飾りとして楽しまれていたそうです。
何気なく飾られたものにも細やかな心遣いがあり、宿の主のおもてなしの心が伝わります。この部屋の”しつらえ”だけでも、今年もここ俵屋旅館に来てよかったと思わせてくれます。
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