ヒアルロン酸注射はシワや法令線、場合によってはタルミまで治療ができる今では一般的な治療となり、私たち形成外科のみではなく、皮膚科や産婦人科などでも行われるくらい普及しています。しかし、未熟な手技で注射をすると、皮膚壊死や失明など重篤な副作用を起こします。そのような副作用は、おもに誤って血管内にヒアルロン酸が注射されてしまうことにより発生します。そこで、尖った鋭針(ニードル)ではなく、先端がまるい鈍針(カニューレ)が使われるようになりました。先端が丸ければ血管を突くことはなく血管内に誤ってヒアルロン酸を注射する事はないとの安全対策です。しかし、血管塞栓の副作用の半数以上が鈍針(カニューレ)を使ったヒアルロン酸注射で起こっています。これはカニューレだから大丈夫と過信することによって起こることです。ヒアルロン酸注射をおこなう場合は、血管や神経がどの部分を走行して、どの部分が危険であるかを正確に熟知することで、副作用はさけることができます。ですから、鈍針カニューレを使っているから安全と言っている先生も安心せずに、副作用を引き起こさないように、細心の注意をはらう必要があります。また、カニューレを使っているのか、使っていないかを判断基準として、クリニックを選ぶことは無意味だとわかっていただけたでしょうか?当院では、部位によって、また患者さんの皮膚の状態や年齢によってカニューレを使うかニードルを使うか選択し使い分けています。
ヒアルロン酸注射 | 2017.01.04.水曜日