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【ヒアルロン酸注射】まとめ、その1

しわ、小じわ、たるみ ヒアルロン酸注射
2016.08.06.土曜日

ヒアルロン酸注射は、タルミやシワの加齢変化を改善できる注射です。皮膚の下や筋肉の下に打つことで、組織にハリを取り戻し外見の若返りが可能となる手技です。ヒアルロン酸自体はほとんどアレルギーもなく、いずれ溶けてなくなる安全な素材です。しかし、ご存じな方も多いと思いますが、誤って血管内にうってしまうと、失明や皮膚の壊死などの重篤な合併症を引き起こします。ですから、ヒアルロン酸注射を行う医師は、顔面の解剖を熟知し安全を第一にヒアルロン酸注射を行う必要があります。

当院にも多くの方がヒアルロン酸注射を希望して来院されます。当院を信頼して来られる患者さんの安全のためにも、私も山本先生も日々、ヒアルロン酸注射やボトックス注射の勉強を重ねています。先日から、東京そして台湾と勉強する機会がありましたので、私なりにヒアルロン酸注射に関する知識と方法をこのブログで整理しようと思います。お友だちの先生の中には、学会や勉強会に参加したくても、クリニックの事情やお子さんの都合などで参加できなかったと聞くことも多く、私見満載のヒアルロン酸注射のまとめですが、少しでもお役にたてればと思い書いていきます。一般の方には少々専門的な内容となりますが、美容治療にかかわる医師も、常にここまで考えて治療に臨んでいるのだということがみなさんに伝わればと思います。

まず7月10日に東京で開催されたAllergan Medical Institute(AMI)と呼ばれる、ヒアルロン酸とボトックス注射の講習会に参加しました。1日目は私も数分間の発表があり、当院での治療の現状を全国から集まられた300人ほどの先生方の前で報告しました。このAMIでは、ブラジルのリオデジャネイロからこられた、ヒアルロン酸注射とボックス注射の世界的権威と言われるデマイオ(Mauricio de Maio)先生の指導のもと、実際の患者さんに対するデモンストレーションがありました。日本国内ではヒアルロン酸注射を行う場合は、一般的に先端の尖った注射針(ニードル、鋭針)しか厚生労働省に認められていませんので、海外で頻繁に使われている先端が丸く針の側面からヒアルロン酸が出てくるカニューレ(鈍針)の使用は、デマイオ先生の日本国内での講演では使用されることはありませんし、先生が言及することもありません。しかし、デマイオ先生著書 Injectable Filler in Aesthetic Medicine の中ではカニューレでのヒアルロン酸注射の方法も紹介されています。日本国内では、厚生労働省が認めたヒアルロン酸に関する講演では、表向きにカニューレを使う手技説明はありませんので、講演での説明をそのまま鵜呑みにせずに、医師自身が考えて自己の責任でより効果的で安全なヒアルロン酸注射の注射方法を考える必要があります。

やっとこれからが本題ですが、ヒアルロン酸注射に関する講義内容と私の意見と考え方を交えて、数回のブログに分けて整理したいと思います。

まず、今回のデマイオ先生の講演で中心となるのが、頬骨と側頭骨の縫合部分(デマイオ先生はL1と呼ぶ)と頬骨本体の中央(L2)の骨膜上に、ヒアルロン酸をその2点に最小限の0.1mlから0.2ml程度ずつうつだけで、頬全体が引張られ法令線(鼻唇溝)が浅くなり、フェイスラインが引上げられ、さらになぜか開眼しやすくなり目が大きくなるVista-Eyeという概念が主眼でした。たったそれだけの量のヒアルロン酸を、鼻唇溝やフェイスラインから離れた場所への注射して、それも目まで大きくなるなんて、少々眉唾に聞こえるのですが、実際は私たちが想像する以上に効果があり、私自身もデモを見て驚きました。

このL1とL2領域は大きな血管や神経がないので、ヒアルロン酸注射はニードル(鋭針)を用いて、右利きの先生は患者さんの右側に立ち、右のL1とL2への注射はニードルを皮膚に垂直に注射器をたてて骨に当たるまでさします。そこで、万が一血管に針先が入っていないか確認するために、注射器内筒を引いて血液の逆流がないことを確認します。器用な先生は母指示指中指で注射器の外筒を支えつつ、薬指と小指で内筒を引いて逆流がないか確認します。この方法は当院の山本先生が得意とするテクニックですが、少々難しいので慣れないうちは、左手で注射器外筒の根元を支えて針先が動かないないようにして、右手の指数本で内筒をつまんで吸引をして血液の逆流を確認すると安全性が担保されて安心です。

そして、実際ヒアルロン酸を注射するときはゆっくりゆっくりうちます。血液の逆流がないから大丈夫と安心せず、患者さんに痛みがないか確認しつつ、また、皮膚の色が真っ白に虚血変化を起こしていないか確認しつつゆっくりうちます。この時に、手に感じる圧力も大切です。圧力が高すぎる状態で無理に強い力でヒアルロン酸を注射すると、副作用を誘因することとなります。特に細い針を使う場合、例えば30Gの針(数字が大きいほど針は細い)を使う場合、針穴が小さい分、相対的に手にかかる圧力が高くなるので、どうしても強い力でうってしまいます。ですから、できれば太めの針のほうが安全です。

右利きの先生が対側の左のL1とL2領域を注射する際に、デマイオ先生はバイオリンを弾く要領でと表現していましたが、術者の立ち位置はそのまま患者さんの右側で、左側の頬の注射をするように練習しなさいと言っていました。そのさい、針の角度は皮膚表面から斜めに(右から左外側に向かって)L1とL2領域の骨膜上に注射するように指導されました。しかし、患者さんに少し右を向いてもらうと、左の頬の注射と同じように皮膚に垂直に注射可能なので、私は左右ともL1、L2領域は垂直にヒアルロン酸注射を行います。深くヒアルロン酸を打つ場合、ヒアルロン酸注射の針が皮膚を通る距離はできるだけ短く、血管などを傷つける可能性を少しでも少なくしたいので、私は針の角度は皮膚に垂直にうちます。

ベテランの先生には私のブログはあたりまえでの初歩的な内容で我流な部分もあるかと思いますが、学会に参加できなかった先生の参考になればと思い、まだまだお伝えしたいことがたくさんありますので、私見と偏見を何回かに分割してヒアルロン酸注射の記事を書きます。次回は下眼瞼のnasojugal groove いわゆるゴルゴラインの治療としてL3(デマイオ先生用語)への注射のポイントを解説したいと思います。

 

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